薬かフロートか?ベンゾジアゼピンとの比較研究が拓く未来
- COCORODO SPA
- 7月30日
- 読了時間: 4分
~薬に頼らない不安対策としての“浮かぶ”選択~
「もう薬に頼りたくない」
「依存性のない不安対策がほしい」
そんな声が、今世界中で高まっています。
不安障害やうつ病に対して広く使われているのが、ベンゾジアゼピン系の薬(日本では「デパス」や「ソラナックス」など)。即効性がありながらも、強い依存性と離脱症状の深刻さが問題視されています。
そうしたなかで、2019年のFloat Conferenceで神経科学者のジャスティン・ファインスタイン博士が行った発表は、大きな注目を集めました。
それは――「薬に代わる、不安の新しい選択肢としての“フロート”」です。
※以下の内容は、Float Conference 2019にて発表された研究内容に基づいており、医療効果を保証するものではありません。
ベンゾジアゼピンの代替として注目される“浮遊療法”
ファインスタイン博士の研究機関では、慢性的な不安やうつ、PTSDを抱える患者に対して、フロート(浮遊体験)による脳と身体への変化を観察しています。
驚くべきは、たった1回60分のセッションで不安が大幅に軽減されたという点。重度の不安を抱える50人すべてのスコアが、フロート後に著しく下がり、「一般的な正常値」に近づいたというデータも報告されました。
特に注目すべきは、その効果の持続時間。多くの人が、セッション後も24時間以上「心の穏やかさ」を感じたと答えたのです。
これは、ベンゾジアゼピンと同等以上の持続時間でありながら、副作用や依存リスクがないという点で画期的な発見です。
医療機関との連携と臨床研究
この研究は、アメリカ国立衛生研究所(NIH)から正式に助成金を受けて進められたものであり、「浮遊体験が医療分野で応用可能である」という証明に向けた大きな一歩です。
研究チームは、以下の3点からフロートの有用性を検証しています:
有効性(どれだけ症状が改善されるか)
安全性(副作用がないか)
忍容性(患者が続けられるか)
その結果、フロートは安全で副作用がなく、しかも多くの患者が「またやりたい」と感じる方法であることが明らかになりました。
“オープンプール型”の開発で心理的ハードルを下げる
従来のフロートタンクは「カプセル型」で、閉所恐怖症の人には抵抗があるものでした。そこで博士は、天井のない「オープンプール型」のフロート装置を独自に開発。空間的な開放感を確保し、不安の強い患者でも無理なく体験できる設計としました。
これにより、医療機関やメンタルクリニックでの導入も現実的になり、フロートが“癒し”から“治療補助”への道を切り拓いているのです。
ベンゾジアゼピンとの「直接対決試験」も構想中
ファインスタイン博士は今後、ベンゾジアゼピンとフロートの効果を直接比較する臨床研究を構想していると語っています。
薬と同じような不安軽減効果がありながら、副作用も依存もない――そんな方法が確立されれば、これまで「薬以外に選択肢がなかった」人たちにとって、希望となるに違いありません。
日本における位置づけと今後の展望
現在、日本ではフロートは医療機器ではなく、リラクゼーション目的で提供されているものです。そのため、効果効能をうたうことは薬機法で厳しく制限されています。
ですが、世界中で進む臨床研究の結果が積み重なっていけば、将来的に医療現場での応用が進む可能性もあるでしょう。
実際にオーストラリアでは、フロートが障害者支援の公的制度の対象となっており、社会的な認知も広がっています。
まとめ:「薬をやめたい」に応える、新しい選択肢
「不安が強い。でも薬には頼りたくない」そう感じている方にとって、フロートという“浮かぶ体験”は、まったく新しいアプローチかもしれません。
もちろん、効果には個人差があります。けれど、何かに頼るのではなく、自分の内側に静けさと安心感を取り戻す方法があるとしたら――
それは、とても価値ある「もう一つの選択肢」ではないでしょうか。
※本記事は、2019年のFloat ConferenceにてJustin Feinstein博士が発表した研究内容をもとに構成されています。※医療効果を保証するものではなく、日本国内での医療的使用は認可されていません。







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