アイソレーションタンクと視覚|暗闇で視覚刺激を減らす理由
「フロートスパとは?」でも紹介していますが、アイソレーションタンクの特徴のひとつに、視覚から受ける刺激をできるだけ減らすことがあります。では、視覚から入る情報を減らすことには、どのような意味があるのでしょうか。
今回は、アイソレーションタンクと視覚の関係について掘り下げていきます。
目は常に情報を受け取っている
私たちは日常生活の中で、目からさまざまな情報を受け取っています。
目に入ってくるのは、意識して見ているものだけではありません。周囲の明るさや人の動き、景色の変化なども自然と目に入り、その情報は脳で処理されています。これは、何かを意識して見ているときだけではありません。ぼんやりと景色を眺めているときや、特に何かに注意を向けていないときでも、目を開けていれば視覚情報は入ってきます。
つまり、自分では「何もしていない」と感じている時間でも、視覚を通して周囲の情報を受け取り、脳ではその処理が続いているのです。
目を閉じるだけでは視覚刺激はなくならない?
目を閉じれば、視覚から入ってくる情報の多くを遮ることができます。しかし、目を閉じたからといって、外部からの視覚刺激が完全になくなるわけではありません。
2024年に『Journal of Neurophysiology』※1に掲載された研究では、目を閉じた状態でも、まぶたを通過した光によって明るさの変化などの大まかな視覚情報が伝わることが確認されました。脳の反応を調べると、目を閉じることで視覚情報の処理は大きく抑えられる一方、脳内の初期の視覚処理では、光刺激に対する反応が残っていました。
つまり、目を閉じることで視覚情報の多くを減らすことはできますが、周囲に光がある限り、視覚への入力が完全になくなるわけではないということです。
完全な暗闇ではどうなる?
では、目を閉じるだけではなく、周囲からの光そのものをなくした「完全な暗闇」ではどうなるのでしょうか。
2020年に『eNeuro』※2に掲載された研究では、16人の健康な成人を対象に、次の3つの状態で脳波を比較しました。
・目を開けて、視覚刺激を見ている状態
・目を開けたまま、外部からの視覚刺激がない状態(完全な暗闇)
・目を閉じて、外部からの視覚刺激がない状態(完全な暗闇)
その結果、目を開けたままでも、視覚刺激がある状態から完全な暗闇になることで、脳波のα(アルファ)波の活動に変化が確認されました。つまり、脳活動の変化には「目を閉じる」という行為だけでなく、外部から入ってくる視覚情報そのものが減ることも関係していると示されています。
暗闇の中でも、目を開ける・閉じるで違う?
完全な暗闇であれば、目を開けていても閉じていても同じ状態になるのでしょうか。
2003年に『NeuroImage』※3に掲載された研究では、12人の健康な成人を対象に、完全な暗闇の中で目を開けているときと、閉じているときの脳活動を比較しました。
その結果、どちらも「何も見えない」という点では同じにもかかわらず、脳の活動には違いがみられました。目を開けているときには、目の動きや外側へ注意を向けることに関係する活動がみられました。一方、目を閉じると、視覚だけでなく、触覚や身体の感覚、聴覚など、さまざまな感覚に関係する脳の活動にも変化がみられました。
つまり、完全な暗闇の中でも、目を開けているときと閉じているときでは、脳が情報を処理する状態は同じではないということです。
アイソレーションタンクと視覚|暗闇で視覚刺激を減らす理由|まとめ
これらの研究では、周囲から入る視覚情報の有無や目の開閉によって、脳活動に違いがみられることが報告されています。
アイソレーションタンクで暗闇をつくる理由は、単に「何も見えなくする」ためではありません。光や色、形、動きなど、普段絶えず入ってくる外部からの視覚刺激そのものをできるだけ減らすためです。これは、外部から受ける刺激をできるだけ少なくするFlotation-RESTの環境をつくるためのひとつの要素です。
視覚だけでなく、音や触覚など、私たちは普段さまざまな感覚から情報を受け取り続けています。アイソレーションタンクでは、こうした複数の感覚への刺激をできるだけ減らすことで、日常とは大きく異なる、外部刺激の少ない環境をつくっています。
東京|FLOAT SPA COCORODO

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