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NASAが隠れて使っていたフロートタンクの歴史〜宇宙飛行士と感覚遮断の深い関係〜

2025年現在、メンタルケアや自己探求の手段として注目を集める

「フロートタンク(感覚遮断タンク)」。


実はこの技術、かつてNASAの宇宙飛行士たちが“秘密裏”に活用していたという驚きの歴史があることをご存じでしょうか?



2019年のFloat Conferenceで、神経科学者のJustin Feinstein博士が語った講演「Establishing a Science of Floatation-REST」は、フロートの過去・現在・未来をつなぐ貴重な記録です。


本記事では、博士の講演内容をもとに、“宇宙飛行士とフロートタンク”の知られざる関係に

焦点を当ててご紹介します。



1957年、NASAと感覚遮断の秘密実験が始まっていた


すべての始まりは1957年。


感覚遮断の先駆者であるDr. John C. Lillyと共に研究を行っていたDr. Jay Shirleyが、アメリカ・オクラホマ州である研究施設を立ち上げました。


彼が作り上げたのは、完全没入型のフロートタンク


水深約8フィート(約2.4m)の巨大な水槽に垂直に浮かび、呼吸のためのチューブを装着。


さらには、非常に密閉感のある恐怖すら感じさせるヘルメットをかぶり、何時間も感覚を遮断するという、今では想像もつかない過酷な装置でした。


この研究には、ほとんどの人が尻込みしましたが、極秘でNASAが支援を行い、宇宙飛行士たちがこの装置でトレーニングを受けていたことが明らかになっています。しかも、男性だけでなく、女性宇宙飛行士候補も参加していたのです。



驚くべき成果:女性宇宙飛行士のほうが長時間浮いていた



この実験で明らかになったのは、女性宇宙飛行士の方が男性よりも2倍長くフロートに耐えられたという事実。平均で5時間で限界を迎える男性に対し、女性たちは10時間以上のセッションをこなすことができたといいます。


このエピソードは『Promise the Moon』という書籍でも紹介されており、もしNASAがこの研究結果を重視していたなら、「最初に月に降り立ったのは女性だったかもしれない」とFeinstein博士は語っています。



感覚遮断と“心の声”を記録する装置


さらに興味深いのが、フロートタンク内で使用されていた「テープレコーダー」の存在です。これは、浮遊中の被験者が一人でつぶやく“意識の流れ”を記録するためのもの。Dr. Shirleyはフロイト派の精神分析家でもあり、人間の潜在意識にアクセスする手段として、フロートを活用していたのです。



今のフロートタンクとどう違うのか?


当時の装置は、現在私たちが使うフロートタンクとはまったく異なるものでした。現在のタンクは、衛生的で快適な温度に保たれ、照明や音楽のオンオフも自由。「安心して浮かぶ」ための設計がなされているのが特徴です。

この大きな進化に貢献したのが、フロート業界のパイオニアであるGlenn Perry氏。彼の設計により、感覚遮断の研究は、一般の人々のリラクゼーションやメンタルケアへと広がっていきました。



なぜ今、NASAの歴史を語るのか?


Feinstein博士は、この話を単なる昔話としてではなく、「現代における浮遊の可能性」を示す象徴として語ります。


たとえば現在、博士の研究機関では、うつ病、不安障害、PTSD、摂食障害、慢性痛などを抱える患者を対象に、フロートの臨床研究が進められています


そして今、アメリカ各地、スウェーデン、ドイツ、ニュージーランド、オーストラリアなど、世界中の大学・医療機関で同時多発的に「フロートの効果」を科学的に検証するプロジェクトがスタートしているのです。



フロートが社会に与えるインパクト


現代はスマートフォンとストレス過多の時代。私たちは無意識のうちに、1週間に40時間以上もスマホ画面を見つめ、睡眠やリアルな人間関係を削り取っています。

そんな時代だからこそ、「何もせずに、何も考えずに、ただ浮かぶ」という時間の価値が見直され始めています。


Feinstein博士は、フロートがもたらすのは「脳と神経系のリセット」だけでなく、「薬に頼らない新しい治療の選択肢」であると考えています。実際、米国国立衛生研究所(NIH)も、浮遊の不安・うつへの効果を認め、初の研究助成金を出したという歴史的な変化も起きています。


まとめ:浮かぶという行為の未来へ


かつてNASAが密かに使っていたこの技術は、今、世界中の臨床現場で「心の処方箋」として生まれ変わろうとしています。

私たちが普段何気なく使っているフロートタンクには、実は宇宙開発レベルの可能性が秘められていたのです。

フロートに身を委ねる時間は、未来の自分と、心の深い場所に出会うための旅なのかもしれません。



※本記事は、YouTube講演「Establishing a science of Floatation-REST, Justin Feinstein | 2019 Float Conference」の内容をもとに構成されています。

 
 
 

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